中1年賀状

◇中1年賀状◇

◇新年にあたって◇

新年おめでとうございます!

院長 田中 弘志

皆さま明けましておめでとうございます。新しい気持ちで新年をお迎えのことと存じます。イラクの戦後復興はまだ全く見通しが立たず、世界にも日本にも暗い影を落としたまま年明けを迎えたという感じですが、私たちは希望を失うことなく、この世界に本当の平和が実現する日が一日も早く来るようにと祈りたいと思います。暗い出来事の多い昨今ですので、今日は女子学院の明るい話題を二つご紹介しましょう。一つは御殿場寮のリニューアルが完成したこと、もう一つは学校の講堂にパイプオルガンが設置されたことです。

女子学院は御殿場の地、富士山のふもとに学校の寮を持っています。寮といってもいわゆる寄宿舎ではなく、いわば研修施設とでも言うべきもので、およそ3000坪の敷地があります。1965年に建てられた本館と生徒宿舎を中心にして、その後いくつかの建物も増設されましたが、いずれにしても相当に古い施設にすこしずつ手を入れながら大事に使ってきました。しかしさすがにもう限界だというので、2002年と2003年の2年にわたって大がかりな修改築を行い、昨年6月に工事が完了しました。以前に比べればかなり快適な寮になったと思います。

この御殿場寮では毎年夏に中2の御殿場教室や高3の修養会などの学年全体の行事をはじめとして、クラブの合宿も入れ替わり立ち代り行われていて、ひと夏で延べ3,500~3,600人の生徒がここで寝泊りをしている計算になります。クラブの合宿がどういうものかは皆さまも大体お分かりだと思いますので、学年行事のことを簡単にご紹介しますと、中2の御殿場教室はいわば本当の意味での女子学院生活のスタートに当たるもので、2泊3日のプログラムを通して自己を見つめ、友人を知り、クラスや学校について考える良い機会となっています。一方高3の修養会は女子学院生活の締めくくりに当たるプログラムで、自己を見つめるという点では基本的に中2と共通するところもありますが、自分がどう生きるか、自分たちが生きていく社会にはどんな問題があるのか、将来の自分の進路ともからめて考えたり、皆で話し合ったりしますので、その深まり具合はやはり中2とは比較になりません。しかし何といっても大学受験の準備で忙しい7月の3日間を使って、高3で全員参加のプログラムを組んでいるところがいかにも女子学院らしいと私は思っています。

もう一つのパイプオルガンですが、これは12年前に現在の校舎が新築された時からの念願であったものがようやく実現したものです。2001年にドイツのドレスデンにあるイェームリッヒというオルガン製作会社と契約を交わし、およそ1年がかりでドイツで部品をつくり、昨年それを学校に運んで約2ヵ月半で組み立ててもらいました。35ストップで3段鍵盤の大変立派なオルガンです。

9月の初めに引渡しを受け、その日以来毎朝、講堂礼拝の時に荘重なオルガンの音色が響いています。ドイツから最初は4人の組み立てチーム、その後2人の整音チームがやってきて、本当に精力的に誠実な仕事をして下さいましたが、特筆すべきことは、彼らと本校の教職員・生徒たちとの間にさまざまな交流があり、友情が芽生えたことです。その大きな理由は、彼らが自分たちの仕事に誇りを持っておられ、その姿勢がオープンであったことです。作業中の現場見学を大いに歓迎して下さり、生徒たちや教職員、時には別の用事で来校された父母や卒業生の方々も、大勢の人たちが見学をさせていただきました。そして音を出して下さるだけでなく、運が良ければちょっとした曲の演奏というサービスにあずかったりもしました。このオルガン設置にあたっては、同窓生や父母、教職員からの献金で総経費の6割近くをまかなってもらいました。

このようにして与えられた施設・設備を私たちは大事に使っていくことはもちろんですが、感謝をもって大いに活用していくことが肝要だと考えております。最も多感な中高時代の6年間を女子学院でのびのびと過ごす生徒たちが、さまざまな教育プログラムを通して幅の広い学びをし、しっかりした精神的基盤に立って、個性豊かな女性として成長し、将来はいろいろな形で社会にその学びを還元してくれること、そしてとりわけ世界の平和に貢献する者となってくれることを心から願っております。


変化を明日につなげて
女子学院って何だろう?「温室」「戦場」「柵のない牧場」…今までいろいろな例えを聞いた。そのすべてが合っているような気もするし、逆に全部間違っているような気もする。

女子学院に入ってから、私はかなり変わった。小学校の頃と比べてみると、別人といってもいいぐらいだ。もちろん、そういった変化をする年齢であることも関係しているだろうが、ここまで変わったのはやはり女子学院の教育のおかげだと思っている。

自分の中で一番変わったのは、思いやりの精神である。とはいっても未だに自己中心的でわがままなところもあるが…。これは聖書に深く関わるようになったからだろう。人の差別的な発言や行動に敏感になり、自分でも気をつけるようになった。少しだけ視野が広がり、物事を深く考え始めた。もし聖書と出会っていなかったらと思うと、少し怖い。

この他にもたくさんの変化があった。しかし今までの私は特にそれらを生かそうとはしなかった。今日の講演を聞いて、これからの私は女子学院での経験を生かしていかなければならないと感じた。変わっただけでは駄目で、それらを将来の仕事につなげていけるかどうかが、重要な第二ポイントなのだと。そして女子学院の「自由」の理由がわかってきた。私たちが、先入観を持たずに広い目で自分の好きな行き先を選べるよう、女子学院は「温室」となり「戦場」となり、「柵のない牧場」となっているのだ。

こうやって考えてみると、女子学院は「第二の親」のような気がしてきた。親が子を育てる時、甘やかすだけでも叱るだけでもいけない。両者のバランスをうまく保たなければ、子供は成長することができないからだ。そして、成長した子はいつかは親の元から旅立たなければならない。

私もちゃんと旅立てるよう、今から努力していきたい。

(中3生徒) 創立記念日(2003.10.24)の講演の感想文より

◇クラブ紹介◇

天文部の主な活動は毎日の太陽黒点の観測及び文化祭に向けての研究です。文化祭では自分たちで決めたテーマに沿った展示とプラネタリウムの上映を行っています。天文学はまだ証明されていないことも多く難しい学問ですが、模型や模造紙などを使ってわかりやすく説明することが目標です。
普段の活動の他に夏に合宿を行い、毎年ペルセウス座流星群を観測しています。この流星群は比較的安定していて、初心者でも1時間程空を見上げていれば5~10個の流星を観測することができます。私達は計数観測の他に電波観測、星の写真撮影なども同時に行い、精度を高めていきます。
また秋から冬にかけては学校内において、惑星や月などを観測しています。校舎屋上の天文ドームにある屈折望遠鏡では、土星の環や木星の大赤斑などもはっきり見ることができます。火星接近時には火星の南極冠も観測できました。
今の季節は空気が澄んでいるので、都心でもたくさんの星を見ることができます。晴れた日の夜に星空を眺めてみるのはいかがでしょうか。

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