入学式が行われました

中学入学式・高校入学式

4月8日の午前に中学入学式、午後に高校入学式が行われました。

式辞
歓迎のことば

「歓迎のことば」

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。今はこれから始まる生活に希望や不安を抱いているのではないでしょうか。しかし、新しい世界に一歩を踏み出そうとしている皆さんは、とても輝いて見えます。私達も皆さんをお迎えすることが出来て、とても嬉しく思います。

さて、これから始まる女子学院での生活は、とても忙しいものになると思います。密度の濃い授業や、委員会活動、クラブ活動、多くの行事、これら全てにしっかり取り組んでいくのは大変なことですが、その分多くの経験をすることが出来ます。特に入学して間もない頃は、いろいろなことが新鮮だと思います。

私は女子学院に入学して、始めてキリスト教に出会いました。女子学院の一日の学校生活は礼拝から始まります。礼拝が毎朝行われることからも分かるように、キリスト教の精神は女子学院の土台となっています。聖書には「人は神の前に皆平等である」と書かれています。
生徒一人ー人の考えや個性を大切にしているのは、この精神が基となっているからだと思います。このように、キリスト教の精神を大切にしている女子学院には、宗教委員会という委員会があります。この委員会は礼拝の司会を務めることや、クリスマス礼拝を中心となって進めることなどを仕事としています。私は中二の一年間、宗教委員として礼拝に関わる仕事をし、礼拝をより身近に感じ、その大切さに気がつくことが出来ました。礼拝では先生方やクラスメイトの考えを聞き、異なる価値観を知ることが出来ます。同じ聖書の箇所でも、人によって考え方は様々です。自分とは違う考えを聞くと、今までの考え方は本当に正しかったのか、もう一度考え直すことが出来ます。もちろん、他の人の考えに納得できないこともありましたが、そのような考えも新鮮に感じられました。私は多くの考えを知ることで、自分の考えが全てではないことに気がつき、いろいろなとらえ方が出来るようになりました。私が好きな聖書の言葉は「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」というものです。礼拝で語られる聖書の言葉は、毎日の生活に直接役に立つものではないかもしれません。しかし、心に積み重なっていく聖書の言葉は、自分を豊かにしてくれるものだと思います。

女子学院に入学したことで、私を取り巻く環境は大きく変わりました。周りの友達は皆、勉強が出来て、音楽や運動といった、勉強以外の能力を持っている人も大勢いました。小学生の頃は、優等生に見られていた私は、あまりの変化に戸惑っていました。自分が皆の中に埋もれて、なくなってしまうような気がしていたのです。その頃の私は、強い自分を作ることに必死でした。始めは周りの友達が自分よりも出来ることを悔しく思い、完璧であることを目指していました。しかし、女子学院に通ううちに、私はあることに気がつきました。先生も友達も、私という人間を見るときに能力ではなく、性格や考え方など、私という人間全体を見てくれていたのです。自分の考え方に対して、その考え方は違うのではないか、と友達に言われることもありました。それは、私の考えを拒絶しているのではなく、興味を持ち、知ろうとしてくれているからこそ、言ってくれたのだと思います。周りの皆が、どんな個性でも認めてくれることに気がついた私は、だんだんとありのままの自分でいられるようになりました。そして皆のことも素直に尊敬できるようになりました。周りの友達や自分自身のことを認められるようになってからは、学校生活がさらに楽しくなりました。これも、女子学院が個人を尊重してくれる学校だったからだと思います。

女子学院は自由な学校として知られています。自由という言葉を辞書で引くと、心のままにすること、束縛や障害がなく思う通りに出来ることとあります。私達も学校生活の中で、そのような状況に置かれています。規則は四つしかなく、先生から細かい注意を受けることはあまりありません。だからといって自分勝手に行動していて良いのでしょうか。女子学院の特徴の一つである、私服を例に考えてみます。派手な服などを着てはいけない、という決まりは一切ありません。しかし常識的に考えて、これらの服が学校にふさわしくないことは誰もが分かるでしょう。自由を与えられた状態で行動するときには、自分でよく考えることが必要です。考えなしに行動すると、後で大きな失敗をしてしまうことや、周りの人に迷惑をかけてしまうことがあります。ですから、自分の行動がどう周囲に影響してしまうのか、最後まで責任を持ってよく考えなくてはいけません。規則が少ない女子学院では、こういった行動が求められるのです。このように、自由を与えられるというのは大変なことです。しかし、自分で考え行動し、目標をやり遂げた時には達成感を味わうことが出来ます。簡単にはいかない分だけ、その感動も大きいのでしょう。私は女子学院に入学したことで、多くの経験をすることが出来ました。自由な中で得られたものは大きく、私の糧となっています。

これからの六年間を女子学院で過ごされる皆さんは、多くの経験をしていくことでしょう。それは決して楽しいことばかりではなく、辛いこともあると思います。しかし、それらはきっと皆さんの糧となっていきます。これからはどんなことにでも積極的に挑戦してみて下さい。皆さんの学校生活が、より充実したものとなりますようお祈り申し上げ、歓迎の言葉とさせて頂きます。

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