三角屋根の寄宿舎

2022年は作家・三浦綾子の生誕100年にあたります。
代表作のひとつである『われ弱ければ―矢嶋楫子伝―』は、女子学院の初代院長である矢嶋楫子の生涯を書いたもので、これを原作とした映画が2022年2月に公開されました。1989年に小学館より刊行された『われ弱ければ』の表紙には、三角屋根の建物が描かれています。この建物は1910年頃にあった女子学院の寄宿舎で、「新グラハム部寄宿舎」と呼ばれていました(下記写真)。当時女子学院には校舎と隣り合って2つの寄宿舎があり、教員と生徒が寝食をともにしていました。写真の右側には西洋風の東屋があり、おしゃべりをしている女性達の姿を見ることができます。寄宿舎の1階は体操場です。卒業生の回想録には、休み時間はバスケット(ボール)に興じた、という記述があります。寄宿舎の前には人力車が1台停まっています。乗用車が普及していない時代、都内のお出かけには人力車を使うことが多かったようです。回想録には、寄宿生全員で十数台の人力車に相乗して上野までお花見に行った思い出が記されています。
当時の風俗をうかがい知ることのできる写真の紹介でした。

 

一覧に戻る